貯金5000万円で生活は可能?2倍の1億円にするには?おすすめの運用方法は?

5,000万円のお金が貯まったら、セミリタイアして仕事から解放されたいと感じる方も多いのではないでしょうか?

しかし、無収入になるのは不安でしょう。
そこで、5,000万円の資産を運用し、不労所得を得られる仕組みを作ることが考えられます。

今回は、5,000万円の運用に向いている商品を「安定志向」「自分で運用したい」「プロに運用を任せたい」というニーズ別に解説します。それぞれの収益シミュレーションも参考にして、自分に合った商品を選びましょう。

5000万円の貯金があれば生活していける?

5,000万円あれば、その貯金だけで生活していくことはできるでしょうか?これは家族構成や生活水準、何歳で退職するのかによっても大きく変わってきます。

退職する年齢が早くなれば、退職金や年金額も少なくなると想定されます。年金は、受給開始までに年金制度自体がどうなっているかわからない部分もあります。

そこで今回は、退職金や公的年金をあてにせず、自助努力だけで生活していくために、どのくらいの貯蓄(資産)額が必要か考えてみましょう。

運用を行わず貯蓄を切り崩して生活するために必要な貯蓄額

まず、収入源を持たず、運用も行わず、退職時の貯蓄を切り崩すだけで生活するのに必要な貯蓄額は次のとおりです。ここでは、毎月の生活費が20万円のケースと30万円のケースに分け、85歳、100歳まで生きると仮定して退職時に必要な貯蓄(資産)額を計算してみます。

退職時に必要な貯蓄額シミュレーション
85歳まで 100歳まで
退職時年齢 月20万円切り崩し 月30万円切り崩し 月20万円切り崩し 月30万円切り崩し
25歳 14,400万円 21,600万円 18,000万円 27,000万円
30歳 13,200万円 19,800万円 16,800万円 25,200万円
35歳 12,000万円 18,000万円 15,600万円 23,400万円
40歳 10,800万円 16,200万円 14,400万円 21,600万円
45歳 9,600万円 14,400万円 13,200万円 19,800万円
50歳 8,400万円 12,600万円 12,000万円 18,000万円
55歳 7,200万円 10,800万円 10,800万円 16,200万円
60歳 6,000万円 9,000万円 9,600万円 14,400万円

仮に40歳で会社を退職する場合、月20万円で生活するとしても、85歳までに1億円以上かかる計算です。

今の時代、100歳まで生きることも十分に想定され、その場合にはさらに4,000万円近く必要となります。ここでは公的年金や退職金が考慮されていないため、その分を差し引くことはできるものの、貯蓄を切り崩すだけで生活を送ろうと思うと、1億円程度の貯蓄が必要といえます。

貯蓄を切り崩すだけでセミリタイアするのは、この数字を見る限りだいぶハードルが高いといえます。また、貯蓄を切り崩す一方で資産が減り続けるという状況は、人はどうしても不安に感じるものです。

さらに、物価が上昇すればより多くの生活費が必要となり、資産を適切に運用できなければ、価値が目減りしてしまうリスクも伴います。

資産の運用益で生活していくために必要な貯蓄額

資産が目減りしてしまう不安や、長生きすることでお金が足りなくなるといった不安もなく、より充実した生活を実現するには、資産を運用して得られる運用益で生活していくというのが有効な方法です。

たとえば、毎月20万円の生活費が必要な方なら、20パーセント課税されるとして、年間300万円(税引後240万円)以上の運用益が得られれば、資産を減らさずに生活していけます。

どれくらいの運用益が得られるかは、運用に回せる「資産額」と「運用利回り」の掛け算です。運用に回せる資産が多ければ、低い運用利回りでも必要な運用益が得られます。一方で、運用に回せる資産が少なければ、同じ運用益を得るために、より高い運用利回りを確保しなければなりません。

運用利回りの高さは、およそ運用リスクの大きさに比例し、高い利回りの商品では損失が生じるリスクも高くなります。退職後の運用では、なるべく資産を減らさないことも重要であり、大きなリスクを取らずに済むよう、退職前になるべく多くの貯蓄があることが理想です。

では、どのくらい貯蓄があれば良いのでしょうか?

年間300万円(税引後240万円)の運用益を確保するために必要な運用利回りと、それに必要な貯蓄額(運用元本)との関係は以下のようになります。

年間300万円の運用益のために必要な利回りと元本
運用利回り 必要貯蓄額(運用元本)
3% 10,000万円
5% 6,000万円
6% 5,000万円
7% 4,286万円
10% 3,000万円
15% 2,000万円
20% 1,500万円

運用元本が1,500万円の場合、年間240万円の運用益を得るには、20パーセントの運用利回りが必要となります。これは、世界で最も成功した投資家と言われるウォーレン・バフェット氏に匹敵するパフォーマンスをあげ続ける必要があるということです。

それを前提に、運用計画を立てることは無謀といえるでしょう。

一方、運用元本となる貯蓄が5,000万円の場合、年間240万円の運用益を得るためには6パーセントの運用利回りが必要となります。

東証1部全銘柄の株式益回りは約6.5パーセント(2018年10月時点・日本経済新聞)、これがおよその日本株の期待リターンであり、平均して6パーセントの運用利回りを確保することは十分可能だといえます。

5,000万円を1億円に増やすことはできる?

貯金を5,000万円貯めた方の中には、もっと貯めて1億円に増やしたい方も多いでしょう。資産運用の力を借りることで、今までよりも楽にお金を増やすことができます。

5,000万円を利回り3パーセント、5パーセント、6.5パーセントで運用した場合、次のグラフのように資産を増やすことができます。

利回り3パーセントなら24年、5パーセントなら15年、6.5パーセントなら12年で、5,000万円を1億円に増やすことができます。基本的には、利回りが高いほど早く1億円に到達できると期待できます。ただし、利回りが高い方法ほど元本割れのリスクも大きい傾向があるので、リスクも理解した上で資産運用を始めましょう。

1億円に増やしたいなら、コツコツ貯金を続けるだけでなく、資産運用の力も借りましょう。次の章では、5,000万円の運用におすすめの運用方法を紹介していきます。

安定志向の方向け

利回りよりもリスクを下げることを重視する方は、元本保証の商品や低リスクの商品を中心に運用していきましょう。安定志向の方におすすめの商品を3つ紹介していきます。

定期預金

定期預金は、満期が決まっている預金です。普通預金と同様に元本保証ですが、高金利であることが多いので、リスクを取らずに運用したい方におすすめです。

定期預金は6ヶ月や1年など期間を決めて預けるもので、途中で引き出すことはできません。途中で解約することは可能ですが、普通預金なみの金利に下げられて解約となります。そのため、今すぐには使わないお金の運用に向いています。

 

金利は銀行によって異なりますが、最大で0.02%程度です。リスクを取った投資に比べると非常に低い利回りですが、普通預金の金利が0.001%程度であることを踏まえれば、預金の中では高金利であることがわかります。

個人向け国債

国債とは、政府が資金調達のために発行する債券です。投資家には半年ごとに金利が支払われ、満期が来たら元本が返済されます。個人向け国債は、個人の投資家が購入できる商品です。

財務省が公表しているとおり、国債は元本保証の商品です。5,000万円をリスクにさらさず運用したいなら、検討してみてはいかがでしょうか?

 

利回りは0.05%で一般的な定期預金より魅力的です。満期は3年・5年・10年から選べますが、数ヶ月~1年と短期間も選べる定期預金に比べると、投資期間は長くなります。

外貨預金

外貨預金は、米ドルやユーロなど海外の通貨を使う預金のことです。外貨建てでは元本が保証されているので、投資経験がなく預金しかしたことがない人にもわかりやすいでしょう。

外貨預金には、日本円の普通預金や定期預金よりも魅力的な金利で運用できる商品があります。米ドルや豪ドルは高金利な傾向があり、金利1%以上で預けることもできます。

 

ただし、為替変動によって円換算では元本割れするリスクがあります。そのため、為替が大きく変動しやすい新興国の通貨での運用は、資産運用初心者にはおすすめできません。高金利が期待でき、かつ為替レートが新興国ほど変動しにくい米ドルなど、メジャーな通貨がおすすめです。

自分で運用したい方向け

元本保証の商品だとリスクが小さい分、利回りも非常に低いです。もう少しリスクを取っても良いから利回りを高めたいという方も多いでしょう。

さらに、5,000万円もの資産を運用するのだから、自分が充分に理解できて納得した商品を選びたいという方も多いはず。この章では、自分で商品を選んで運用したい方向けの投資方法を2つ紹介します。

株式投資

株式は、企業が資金調達のために発行する証券です。

株式に投資するとその企業の株主となり、定期的に配当金や株主優待を得ることができます。また、株価が低いときに買って高くなってから売却すれば、差額を利益として得られます。

 

このように、株式から利益を得る方法はさまざまなので、自分の理想に合った投資ができます。たとえば、配当金だけで生活したいなら高配当株式に投資します。大きな利益を狙いたいなら、値上がり益が見込める成長企業に投資することが考えられます。

自分で投資する銘柄を選ぶ面白さがある一方、銘柄選びに失敗する可能性があることは理解しておく必要があります。将来有望だと思って株式に投資したのに、不祥事によって株価が大暴落してしまうといったリスクもあるのが株式投資です。

不動産投資

不動産投資とは、マンションやアパートなどの不動産を購入し、賃貸物件として他人に貸し出すことで、収益を得る方法です。いわゆる「大家さん」ですね。また、不動産の価格が上がってから売却すれば、値上がりによる利益を得られます。

不動産投資は、工夫次第で利回りを高められるため、自分で運用したい人に向いています。情報収集して物件を安く購入したり、見積もりを比較してリフォーム費用を安く抑えたりできれば、初期費用を抑えられて収益性を高められるからです。

 

ただし、利回りの高い不動産投資ができるようになるまでには、相当の経験を要することがほとんどです。初心者のうちは空き家など難しい物件には手を出さず、需要が見込めそうなエリアで投資に慣れることから始めましょう。

自分ではなくプロに運用してもらいたい方向け

株式投資や不動産投資のように自分で運用する方法もありますが、勉強したり取引したりする手間がかかります。労力をかけずに5,000万円を運用したいなら、プロに運用してもらえる商品から選んでみてはいかがでしょうか。

ここでは、プロに任せられる商品を4つ紹介していきます。なお、プロが運用してくれる商品は、手数料がかかります。商品によって手数料の大小は異なるので、期待できる運用利益に対し、手数料が高額ではないか確認してから投資を始めましょう。

投資信託

投資信託は、投資会社にお金を預け、代わりに運用してもらう商品です。

インターネット証券会社では100円と少額から投資できるので、初心者が投資を試してみるのにもぴったりです。

投資信託は種類が豊富で、国内で販売されているだけでも6,000本に上ります。これだけの種類があれば、自分のリスク許容度に合った商品が見つかるでしょう。

 

ただし、投資信託には手数料がかかります。6,000本も種類があるので、手数料の大小もさまざまです。最近では購入時手数料が無料の商品など、低コストの商品もあるので、コストも比較して商品を選びましょう。

ETF(上場投資信託)

ETFは上場投資信託のことで、投資信託の仲間です。

証券取引所に上場しているので、上場投資信託と呼ばれます。通常の投資信託は銀行や証券会社を通じて申し込みや解約をしますが、ETFは証券取引所で売買することにより、投資を始めたり終了したりします。銀行や証券会社などの窓口を通さないことなどから、投資信託よりも手数料が低い傾向があります。

 

国内で購入できるETFはインデックス型で、市場平均なみの成果が期待できる商品です。大きな利益は狙いにくい一方、平均を上回る大きな損失も生じにくいです。

株式と同様に証券取引所で売買するので、平日の日中ETFの価格が値動きしている中で注文します。投資信託の申し込みより難しく感じられるかもしれませんが、挑戦してみてはいかがでしょうか?

REIT(不動産投資信託)

REITは不動産投資信託のことで、こちらも投資信託の一種です。投資対象が不動産に特化しており、証券取引所に上場しているので、「不動産に特化したETF」といったほうがわかりやすいかもしれません。

REITの投資対象には住宅だけでなく、商業施設やオフィスビル、ホテル、ヘルスケア施設など、個人で所有することが難しい不動産も含まれます。さまざまな不動産に分散投資をしたい、という人に向いています。

ヘッジファンド

ヘッジファンドも、投資会社に在籍するプロに運用を任せられる商品です。私募ファンドで法的な制限が少なく、自由度が高い運用ができるのが特徴です。大勢の投資家を募集する公募ファンドである投資信託と異なり、高い利回りが期待できます。

少人数の投資家からまとまった資金を集めて運用する私募ファンドのため、最低投資額は原則として1,000万円です。富裕層にしかできない特別な運用方法でもあるので、5,000万円もの資産がある方は、一部の資金をヘッジファンドに投資してみても良いでしょう。

 

ただし、手数料が高額に設定されていることがあります。利益に対して手数料が大きすぎないか、投資を申し込む前に確認しましょう。

5000万円の運用ポートフォリオ&シミュレーション

これまで紹介した商品で5,000万円を運用すると、どのように資産形成ができるのでしょうか?目安の利回りを仮定し、シミュレーションしていきましょう。

余剰資金が5,000万円で全額投資に回せるという仮定のもとでシミュレーションしています。

安定志向の方向け

安定志向の方向けに紹介した3つの商品の利回りを仮定し、下表のように5,000万円を投資したポートフォリオを例にシミュレーションしていきます。

商品 利回りの仮定 投資金額
定期預金 0.02% 2,000万円
個人向け国債 0.05% 2,000万円
外貨預金 1% 1,000万円

このポートフォリオ全体での利回りは、約0.2%です。利益を再投資しながら利回り0.2%で5,000万円を20年間運用すると、下のグラフのように資産を成長させることができます。

20年間運用すると、5,000万円の元手は約5,200万円に増やせることがわかります。リスクを低く抑えた運用でも、20年と長期間にわたって運用すれば、200万円もの利益が期待できます。

自分で運用したい方向け

自分で運用したい方向けに紹介した2つの商品の利回りを仮定し、下表のように5,000万円を投資したポートフォリオを例にシミュレーションしていきます。

商品 利回りの仮定 投資金額
株式投資 5% 2,000万円
不動産投資 7% 3,000万円

このポートフォリオ全体での利回りは、6.2%です。利益を再投資しながら利回り6.2%で5,000万円を20年間運用すると、次のグラフのように資産を成長させることができます。

20年間運用すると、5,000万円の元手は約1億6,000万円に増やせることがわかります。元手の金額が大きく、また利回りが高くなれば、期待できる利益も大きくなります。

自分ではなくプロに運用してもらいたい方向け

プロに運用してもらいたい方向けに紹介した4つの商品の利回りを仮定し、下表のように5,000万円を投資したポートフォリオを例にシミュレーションしていきます。

商品 利回りの仮定 投資金額
投資信託 3% 2,000万円
ETF 4% 1,000万円
REIT 6% 1,000万円
ヘッジファンド 10% 1,000万円

このポートフォリオ全体での利回りは、5.2%です。利益を再投資しながら利回り5.2%で5,000万円を20年間運用すると、次のグラフのように資産を成長させることができます。

20年間運用すると、5,000万円の元手は約1億4,000万円に増やせることがわかります。プロに運用を任せると手数料はかかりますが、それでも充分に大きな利益が期待できることがわかります。

まとめ

5,000万円の資産があるからといってセミリタイアし、無収入になってしまうと、将来お金に困るかもしれません。資産運用を行ってお金を増やしたり、不労所得を得たりして、資産形成をする必要があるでしょう。

今回紹介したように、投資家のニーズによって選ぶべき商品は異なります。自分に合った商品を見つけ、投資を始めてみてはいかがでしょうか?